研究内容

表面科学の研究

ある相が他の相と接している境界のことを「界面」と呼びます。「表面」は、界面の一種で、固体と真空が接している境界のことです。(日常生活では、固体と空気の境界のことを表面という言葉で表します。)

この表面や界面では、物質内部のバルクとは異なる構造を取り、ゆえに性質も異なります。ウォルフガング・パウリ(Wolfgang Pauli)は “God made the bulk; the surface was invented by the devil.” と表現したと言われるように、表面は複雑です。異なる物質を重ね合わせて何かを作るとき、物質同士を反応させたいとき、表面物性は重要な枠割を果たします。ナノスケール材料では表面/バルク比が大きいため表面の影響が大きく出ます。

当研究室では、物質表面に特有な構造と物性を理解するための研究を進めています。金属、酸化物、有機薄膜、吸着分子など様々な材料の評価に取り組んでいます。こういった研究から、エネルギーや環境問題を解決するために有用な触媒反応機構の解明や、より小型で省エネの次世代電子デバイスの開発に役立つ情報などが得られます。

さらに、自然にできた表面を観察し理解するだけでなく、界面現象を利用した材料作りや、加工による表面制御など、Devilではなく自分達で表面や界面を作る研究も進めています。

実験手法

表面構造や物性を調べる実験手法は数多くありますが、当研究室では単原子・単分子スケールでの理解にこだわりを持っており、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscopy: SPM)を主なツールとして用いています。SPMには大きく分けて2種類あります。走査型トンネル顕微鏡(Scanning tunneling microscopy: STM)と原子間力顕微鏡(Atomic force microscopy: AFM)です。当研究室では、装置開発から、これらを使ったサイエンスまでを網羅しています。このページの下には装置の写真もありますのでご参考に。矢上キャンパスの中央試験所にある装置や、共同研究先の装置を使用することも多いです。

STMは量子力学的トンネル現象を利用した顕微鏡です。電子状態密度(DOS)の空間分布を可視化することで表面構造や吸着分子の状態を研究します。AFMは原子間に働く相互作用(ファンデルワールス力,化学結合力,パウリの斥力等)の空間分布を得る手法です。詳細は学生が作成したページ「先輩が教えるSPMの基礎基本」をご参考に。


現在の主な研究テーマ

  • 触媒作用のある酸化物表面の構造・物性評価とガス吸着現象の解明
  • 機能性有機薄膜の自己組織化膜の形成機構解明と物性評価
  • 実用ナノ材料の高解像度イメージングと分光測定
  • 新規STM・AFM装置の設計・開発・立上げ
  • STM/AFM同時測定用石英センサーの開発と動作実証

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